近江の名宝保存継承事業

 近江の名宝保存継承事業は、今年度から滋賀県で新設された事業で、近江の先人がつくり、守り伝えてきた名建築や優れた美術工芸品などの文化財を守り、次の世代につなぐため、傷みの激しい文化財等を保存修理する取り組みについて、所有者等に対して補助を行うものです。この事業では、マザーレイク滋賀県応援寄附金が活用されています(詳細については滋賀県のホームページを参照してください)。

 長浜市内の滋賀県指定有形文化財の全長寺本堂(余呉町池原)と日吉神社本殿(高月町井口)の2件が採択され、10月~11月に屋根葺替修理がおこなわれます。

 

全長寺本堂(滋賀県指定有形文化財 昭和62年3月29日指定)
  • 桁行20.3m、梁間16.9m、一重、入母屋造、茅葺型鉄板葺(もとは茅葺)、玄関・位牌堂付 全長寺本堂全景
  • 附:棟札1枚 寛政元星舎己酉上梁の記がある
  • 建築年代:寛政元年(1798)[棟札]

 全長寺は桂照院第2世頤正全養(いしょうぜんよう)禅師に帰依した僧全長が曹洞宗に改宗して、慶長2年(1597)に開創したと伝えます。

 本堂は寛政元年(1789)に建てられた大規模な方丈型仏堂で、屋根は入母屋造の鉄板葺となっていますが、もとはヨシ葺でした(写真上)。

 建物は6間取りの基本形に2室を接続して8部屋で構成されます。正面側の土間部分に広縁を取り込み、仏間を仏堂形式にするなど18世紀から19世紀にかけて方丈型本堂が発達する過程をよく示しています。県下の曹洞宗における大型本堂として貴重な建物です。全長寺玄関

 今回修理を行うのは正面右寄りに取り付く玄関の屋根で、この屋根はこけら葺(木の薄い板を使用して葺く技法)です(写真中)。屋根は経年によって腐朽が著しくなってきていることから、葺き替えを行います。

 

 

 

日吉神社本殿(滋賀県指定有形文化財 平成3年3月30日指定)
  • 桁行3間、梁間3間、一重、入母屋造、向拝1間、茅葺
  • 附:棟札 1枚 元文3年の記があるもの
  • 附:文書 8冊
  • 建築年代:元文3年(1738)[棟札] 江戸時代

 現在の本殿は、棟札により元文3年(1738)に再建され、大工は井口村平井彦右衛門であったことが分かります(写真下)。日吉神社本殿全景

  建物は外陣正面1間通りを吹き放しとし、柱上には外陣・内陣とも出組で蛇腹支輪を納め、格天井を張るなど外観、内部ともに仏堂風の形式を採用しています。蟇股には輪郭からはみ出るほど動植物の彫刻を施すなど派手な意匠を取り入れ、虹梁の絵様にも江戸中期の様式手法をよく示しています。

 県下の数少ない入母屋造の本殿の中で、質的にも高く、向拝まで葺き下ろすヨシ葺の屋根がそのまま残る建物としても貴重です。

 今回修理を行うのはヨシ葺屋根で、 ヨシの抜け落ちや一部に損傷等があることから屋根全面に差し葺きを行います。

 

お問い合わせ先

長浜市教育委員会 文化財保護センター
  • 住所:526-0802 滋賀県長浜市東上坂町981
  • 電話:0749-64-0395
  • ファクシミリ:0749-62-6357